芸術に関して、ちょっとしたお話を掲載していきます。

人の想像力による芸術の宇宙観

 美術などの空間芸術(建築、工芸、絵画)も音楽などの時間芸術も、そしてオペラや演劇など総合芸術も、いずれの芸術作品もその時代を反映し、その様式も変遷を重ねてきました。

 しかし時代に左右されずに変わらないものは、人間の創造力によって見る、あるいは聴く人々の「想像力」を必要とすることです。

 言葉は日常のコミュニケーションツールです。言葉そのものにも単語としての意味は、もちろんあります。しかし、単語単体では、想像できるものは限られています。しかし、この単語を言い方や強さを変え、さらに話す人が表情を変えることで、単語の持つ本来の意味とは正反対の印象を持たれることさえあります。面白いもので、同じ単語でもこのように複数の要素を組み合わせることで、その単語が持つ意味も大きく変わります。これを複雑に組み合わせることで、人々が想像力を膨らませ、心は作品の中のあるものに同化していきます。もちろん、それぞれの人々はそれぞれ違う想像力を働かせるわけで、例えば舞台上の演者によって宇宙のように壮大な空間が拡がっていきます。

 この想像力こそ、時代に影響されない芸術作品の欠かせない要素です。

 映像によりそのまま、そのものを見せるよりも、それをあえて隠して言葉や表情により人々に想像させるほうが、圧倒的に効果的、衝撃的で、より鮮明にその事象を表現することができます。

 ただ、この組み合わせも無限に存在し、すべての芸術家に自由に与えられているからこそ使いこなして人々の想像力を呼び起こすことは、言葉では簡単に言えますが、すべてが難問であり、多くの時間を費やした訓練と奥深い勉強を必要とします。そしてその積み上げた実力のみが、人々の想像力を呼び起こすことを可能にします。

 常に新しいことに挑戦する勇気と失敗や挫折を恐れず前に前に前進する忍耐力と精神力こそが、芸術作品とその「美」を生み出す原点であることは、これからも不変です。

2017.06.22

世界で十分活躍できる人材が埋もれてしまわないためには

 昨今では、世界中で日本の芸術家が活躍しています。そのほとんどの方々は、何らかの形で国外の教育を受け、そこで認められることで活躍をしています。日本の芸術に関する教育は、どの分野も世界でもトップレベルです。そしてその高等教育を受けた人材の中には、世界レベルの芸術家も少なくありません。残念ながら、多くの卒業生が自らが受けてきた専門教育ではない分野に就職される、あるいは受けてきた専門分野ではない分野で生計をたてる、ということも決して稀なことではありません。これは大変に残念なことです。

 芸術という分野は、自らの魂を売ってまで極めたい、と本気で考え、それに打ち込む情熱がなければなりません。芸術の表現は、その人間の魂の叫びであり、その人間が秘める宇宙的な想像力、そして創造力を極限まで高めることでもあります。しかしながらそれには、多くの人生の時間を必要とします。単に専門教育を受けて卒業してすぐに超一流の芸術家として活躍することは、ほとんどありません。

 世界レベルの芸術家を、超一流の芸術家に育てるのは、自らの出生地や居住する地域の方々が、「おらが村」の芸術家に環境を提供していただくということもさることながら、芸術家が自ら積極的に地域の中で活躍の場を作っていく、といった地道な努力も必要だと思います。その活動は、さらにその地域の子供たちを芸術家へと育てる環境にもなります。芸術家を支えていただくのは、地域の方々のお力が必要です。その芸術が地域を代表するような活動になれば、それが観光に結びついて、ここでしか見れない、あるいは聴けない芸術として、世界に発信することができるようになると思います。地域で行われる演劇やコンサートがインターネットを通じて日本を訪れる観光客がチケットを購入して見にくる、というような世界が実現する可能性もあるわけです。このコラムをお読みになった方々には、ぜひ芸術家に力を貸していただけましたら幸いです。

 国際芸術認定機構は、そのような活動は積極的に公認してまいりたいと思います。

2017.05.20

地域に根差した芸術家を育てよう!

 一般社団法人 国際芸術認定機構のWebサイトにアクセスいただいた方、そしてFacebookに直接アクセスいただきました皆様、アクセスいただきましてありがとうございます。

 一般社団法人 国際芸術認定機構の理事長に就任いたしました島谷恵介です。

 今後、芸術の一般的な話から学生の方の勉強に、そしてお子様の教育にお役にたてる情報をお届けいたします。ぜひ、ご一読ください。

 本日は、私の専門分野でもあります、クラシック音楽を中心にお話しをいたします。

 時折、日本では欧米がルーツのクラシック音楽が根差していない、ということを耳にしますが、私は世界の中でも日本は、クラシック音楽はすでにしっかりと根をはり、そのレベルも極めて高いと思っています。プロやアマチュアオーケストラも、東京だけでもかなりの数が存在します。何らかの形で音楽に関わる方も相当な数がいらっしゃいます。

 ではなぜ、そのように感じられるのか--。それは高等音楽教育を受けて大学を卒業しても、その後に専門として勉強した分野で仕事がない、あるいは極端に少ない、という現状が、要因の一つとしてあると思います。また習い事として比較的需要があるピアノやコーラスといった分野に生徒が集中し、経済的な言えば、需要と供給のバランスが極端に悪いということも遠因と思われます。

 では欧米ではどうでしょう? 国として自国の文化として発祥し、文化として継承する必要のある国では、需要ももちろんですが、それを支えてくれる国や地方自治体、そして企業、そして何より国民の方々のサポートが非常に大きい力となっています。国民の方々のサポートというのは、単に資金的スポンサーという意味だけでなく、演奏会の開催やそこに足を運んでいただくということです。

ではそのためには何が必要でしょう? 実は日本でも、ほんの少しの環境整備で実現できる可能性があるのです。

 それは言わば「地域に根差した芸術家」を生み出すことです。芸術家は活動拠点において、その地域に貢献する、演奏会を企画する方々、特に地方自治体に関係する地域企画のイベントは、できるだけその地域で活動する芸術家を使っていただきたいと思います。地域の活性化なくして、国レベルの活性は難しいと思います。その地域に行かないと味わえない芸術文化がある、というのはとても魅力的なことです。

 このようなプロジェクトを今後実現するために活動をには、皆様のご協力が不可欠です。優秀な芸術家を育てて世界に発信するために日々努力する所存です。

2017.02.09

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